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社長、その外国人紹介は大丈夫ですか?
― 送り出し機関・ブローカーの落とし穴

卒業式のシーズンになると、私は毎年少し複雑な気持ちになります。
華やかな式典。笑顔で写真を撮る留学生たち。
「これから日本で働きます」と語る学生も少なくありません。
しかしその一方で、卒業と同時に
在留資格(VISA)を失うという現実があります。
就職が決まらなければ、日本に残ることはできない。
帰国するか、あるいは別の道を探すか。
この「時間が限られた状況」の中で、
留学生たちは大きな決断を迫られます。
そして、そうした状況に
静かに近づいてくる存在があります。
それが、送り出し機関やブローカーです。
【弱い立場の留学生に忍び寄るブローカー】
就職が決まらないまま卒業を迎えた留学生にとって、
日本に残るための時間は限られています。
「あと数週間でVISAが切れる」
「何とかして働き先を見つけたい」
そんな状況の中で、
彼らに近づいてくる存在があります。
それが、ブローカーや不透明な紹介ルートです。
彼らはこう言います。
「お金かかるけど・・・仕事、紹介できるよ」
「この紹介する会社ならすぐ働ける」
「大丈夫、手続きも全部やってあげる」
追い詰められた状況にある留学生にとって、
この言葉は非常に魅力的に聞こえます。
しかし、その裏側で問題が起きているケースを、私は数多く見てきました。
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【① 交通違反が原因で就職できなかったケース】
ある留学生は、就職自体はほぼ決まっていました。
しかし最終段階で、
過去の交通違反歴が問題となり、在留資格の変更が認められませんでした。
本人にとっては「軽い違反」のつもりでも、
入管の審査では大きなマイナスになります。
企業側もそこまで確認しておらず・・・
結果として「採用できない」という事態になりました。
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【② 年金・納税未払いで内定後に不許可となったケース】
別のケースでは、企業から内定を得ていたにも関わらず、
在留資格変更の申請で不許可となりました。
理由は、年金や住民税の未払いです。
本人は「よく分からなかった」「払っていなかった」という状態でしたが、
これは入管審査において非常に重要なポイントです。
企業としては採用の準備を進めていたにも関わらず、
最終的に雇用できないという結果になってしまいました。
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【③ 本国書類が偽造で就職そのものが破綻したケース】
そして、最も深刻なのがこのケースです。
ある留学生は、学歴や経歴に問題はなく、
企業も採用に前向きでした。
しかし、入管の審査の過程で
本国の提出書類が偽造であることが発覚しました。
本人が意図していたかどうかは別として、
結果として在留資格は認められず、就職は完全に白紙になりました。
そしてこのようなケースの背景には、
不透明な紹介ルートやブローカーの関与があることも少なくありません。
「これらは決して特別なケースではありません。」
問題は、“誰から紹介されたか”を企業が見ていない点にあります。
その結果、採用後に在留資格の更新が認められなかったり、
最悪の場合、許可の取り消しに至るケースも出てきています。
【④ 企業側が見落としているリスク】
ここまで見てきたような問題は、
決して留学生本人だけの問題ではありません。
むしろ企業側の採用の仕方によって、
リスクを大きくしてしまっているケースも少なくありません。
多くの企業では、
「紹介された人だから大丈夫だろう」
「送り出し機関が間に入っているから安心だろう」
と考えてしまいがちです。
しかし実際には、
“誰が紹介してきたか”と“その人がどんな人か”は全く別の話です。
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さらに最近では、マイナンバー制度の浸透やデジタル化の進展により、
これまで見逃されてきた情報も正確に把握されるようになってきています。
その結果、採用後に在留資格の更新が認められなかったり、
場合によっては許可の取り消しに至るケースも出てきています。
(この件、また別の記事で詳しく紹介します)
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つまり企業にとっては
・採用したのに働けない
・現場に入れた後に離脱する
・教育コストが無駄になる
といった、直接的な損失につながります。
さらに、
・現場の混乱
・既存社員の不信感
・採用そのものへの不安
といった、目に見えない影響も出てきます。
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本来、人を採用するということは
「責任を持ってその人を受け入れる」ということです。
しかし
・紹介されたから
・手続きは任せているから
・よく分からないから
という理由で判断してしまうと、
結果として企業自身がリスクを抱えることになります。
では、こうしたリスクを避けるためには、企業は何をすべきなのでしょうか。
【⑤ ではどうすればよいのか】
では、こうしたリスクを避けるためには、企業は何をすべきなのでしょうか。
結論から言えば、
**「採用を人任せにしないこと」**です。
送り出し機関や紹介会社の情報を参考にすること自体は問題ありません。
しかし、それをそのまま信じて判断してしまうと、今回見てきたようなリスクを抱えることになります。
大切なのは
・一人ひとりの背景を確認すること
・在留資格や生活状況をきちんと理解すること
・「紹介された人」ではなく「採用する人」として見ること
です。
外国人採用も、日本人採用と同じです。
最終的に判断するのは企業自身であり、その責任も企業にあります。
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【⑥ まとめ】
外国人採用においては、
「どこの国の人か」
「どのルートで来たか」
よりも、
「どんな人なのか」
を見ることが重要です。
そしてもう一つ大切なのは、
情報の出どころを疑う視点です。
送り出し機関やブローカーの話がすべて間違っているわけではありません。
しかし、その情報をそのまま受け取るのではなく、
企業自身が判断することが必要です。
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【⑦ 次回予告】
では、そもそもなぜこのような問題が起きるのでしょうか。
そして企業は、どのように外国人採用と向き合えばよいのでしょうか。
次回は
「なぜ私は企業に留学生採用を勧めるのか」
というテーマで、
外国人採用を成功させるための考え方についてお話しします。
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