第2回
技能実習制度はどう変わるのか
― 制度見直しの背景と企業への影響 ―

1.技能実習は国際貢献として始まった
技能実習制度は本来、
「発展途上国への技能移転による国際貢献」
を目的としてスタートしました。
日本で技術や知識を学び、それを母国に持ち帰る。数年後には帰国する…。
この建前のもと制度は設計されています。
実際、制度上も「労働者」ではなく
**「技能を学ぶ実習生」**という位置づけになっていました。
しかし、この制度設計には一つ大きな前提があります。
それは
「日本は人材を送り出す側ではなく、向かい入れ育てる側である」
という考え方です。
ところが現実の日本は、すでにその前提が崩れています。
また、実際に来日した外国人側にも大きな誤解がありました。
それは
「日本に行って、お金を稼げる制度」
という考え方です。
2.単純労働作業人員として活用された背景
現場では技能実習制度は、実質的に
人手不足を補う制度
として活用されてきました。
その背景には3つの要因があります。
① 深刻な人手不足
少子高齢化により、特に単純労働の現場職では日本人の採用が難しくなっています。
② 制度上の「使いやすさ」
- 職種ごとの枠が明確
- 管理団体が仲介(丸投げ体質)
- 比較的安定した雇用(アジアからの労働供給力)
企業側にとって導入しやすい仕組みでした。
③ 転職ができない仕組み
技能実習は原則として転職ができないため、
企業側から見ると
「人材が定着しやすい制度」
として機能していました。
しかしこの構造は、同時に大きな問題も生みました。
- 失踪問題
- 人権問題
- 仲介ビジネスの不透明性(来日前に多額の借金を背負う)
こうした課題が社会問題化し、
制度の見直しにつながっていきます。
3.育成就労制度への移行期が抱える課題
現在、技能実習制度は廃止が決まり、
新たに「育成就労制度」へ移行することが決まっています。
この新制度は
「人材育成」と「人材確保」
を正面から目的とする制度です。
これは従来の建前からの大きな転換です。
ただし、移行期には大きな課題があります
① 制度の理解が追いついていない
2026年時点では運用要領が出たばかりで、
実務の全体像が十分に浸透していません。
② 転籍(転職)制度の影響
育成就労では一定条件のもと転籍が可能になります。
これは企業側にとって
「人材が流出するリスク」
を意味します。
③ 教育責任の増大
新制度では
- 日本語能力要件
- 育成計画
- 特定技能への移行
が明確に求められます。
つまり
「雇えばいい」から「育てなければならない」へ
企業の役割が変わります。
4.2026年度は技能実習+育成就労準備期間
最も重要なポイントです。
制度はすぐに切り替わるわけではありません。
スケジュール整理
- 2027年4月
→ 育成就労制度スタート - 2027年以降
→ 技能実習の新規受入は終了 - ~2030年頃
→ 経過措置として併存
つまり2026年は
「制度の準備期間」
です。
経営者がやるべきこと
この期間に重要なのは
① 技能実習を続けるのか
② 特定技能へシフトするのか
③ 育成就労を前提に設計するのか
を決めることです。
特に重要なのは
「今採用した人材が3年後どうなるか」
を考えることです。
5.まとめと次回(特定技能へ)
技能実習制度は
- 国際貢献から始まり
- 人手不足対策として使われ
- 制度疲労により転換を迎えました
そして今
「人材確保制度」へと再設計されています。
ここで重要なのは
技能実習(育成就労)は
あくまで「入り口」であり
最終的には
特定技能への移行
が前提になっている点です。
つまり今後の外国人採用は
技能実習だけではなく
「特定技能まで含めた設計」
が必要になります。
制度の公式情報はこちら(出入国在留管理庁)
より正確な制度内容や最新情報については、出入国在留管理庁の公式ページをご確認ください。
▶ 技能実習・育成就労制度に関する情報
*制度は今後も変更される可能性があります。
最新情報は必ず公式情報をご確認ください。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/basic_plan.html
ただし、公式情報は制度の説明が中心のため、
「自社にどう当てはめるか」は分かりにくい部分もあります。
ご不明点があればぜひご相談ください
次回予告
第3回
特定技能制度は人手不足の本命になるか
― 中小企業が知っておくべき活用ポイント ―
コメント
COMMENT